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【漢字】①象形・指事・会意・形声文字

①象形・指事・会意・形声文字

 漢字が伝わったのは中国からだというのは常識ですが、じゃあどうやって、古代中国の人たちは漢字を作ったのかというお話。

 中国から漢字が伝わってくるまで日本には文字というものがありませんでした。奈良時代になって、ずっと暗誦口伝(口伝え)されてきた神話が、漢字によってようやく書き残されるようになったのでした。「古事記」とか「日本書紀」ですね。二つあわせて『記紀』といったりします。ここのところ日中関係はよくないのですが、中国から漢字が伝わったことが、日本の文化が育つきっかけとなったともいえるわけです。

 その中国では文字をどのように作ったのでしょうか。「甲骨文字」なんて社会の得意な人は知っているかもしれません。その文字を作ったときの方法を見ていきましょう。漢字の作り方は直接、文字を作る方法として四通り、さらに使い方で文字を増やす二通りを加えて六通りの作り方がありました。これを『六書(りくしょ)』といいます。漢字を作るのに並々ならぬ智恵と努力があったろうと思います。その六通りとは、次の六つです。

(1)象形文字(しょうけいもじ)

 象形文字とは、ものの形をかたどって描かれた文字からなる文字体系で、絵文字からの発展によって生まれたと考えられている。絵文字と象形文字との最大の違いは、文字が単語に結びつくか否かにある。絵文字が文字と語の結びつきを欲せず、その物を必要としたものであるのに対し、象形文字は文が語に分析され、その語と文字とが一対の対応をなす表語文字の一種のことをいう。

 象形文字では、文字はもっぱらそのかたどったものの意味を担うが、一般に表語文字では、それぞれの文字が具体的な事物にとどまらず語や形態素を表すことが多い(詳細は表語文字の項を参照)。しかし、漢字における仮借、ヒエログリフなどでの表音的使用など必ずしも象形文字の特徴と一致するわけではないものもまとめて象形文字と呼ぶことが多い。

上記は、「ほのお」、「流れるみず」の象形文字から「火」・「水」という漢字が生まれました。

 このような意味での象形文字としては、漢字、ヒエログリフ、楔形文字、インダス文字、トンパ文字などがある。

(2)指事文字(しじもじ)

 指事文字とは、絵としては描きにくい一般的な事態を、抽象的な約束や、印であらわした字。具体的には、上、下、中、一、二、三、乃、音、足、天、本、立、引、公、今、母、化、世、面、共、参、失、周、卒、仲、夫、末、至、寸、片など。

(3)会意文字(かいいもじ)

 会意文字とは、2文字以上の漢字の形・意味を組み合わせて作られた漢字の事を言います。象形文字や指事文字(文)を組み合わせて、さらに複雑な意味を表そうとしたもの。武(戈+止)や、信(人+言)などの文字。

(4)形声文字(けいせいもじ)

 形声文字とは、意味を表す文字(漢字)と音(読み)を表す文字(漢字)を組み合わせてできた漢字の事を言います。上の図だと、「日が照ってはればれしている」という意味と「青の読み:せい」が組み合わさってできた漢字という事です。日本の漢字の85%近くが形声文字と言われています。

 会意文字でもあり、形声文字でもある漢字を事を「会意兼形声文字」と言います。

 日常的な言語使用において、漢字の成り立ちを見分けなければならないということは、おそらくないでしょう。ただ、国語や日本語教育能力検定の試験では、漢字の成り立ちに関する知識が問われることがあります。漢字の成り立ちを見分けなければならないとき、会意と形成との区別にはやや難しいところがあるようです。そもそも、漢字の字源(解釈)にはあやふやな部分も少なくなく、通説とされるものの中にさえ根拠の薄弱なものがあるようです。そのため、字書・字典によって「会意文字」と「形声文字」の判断に違いがあるといったこともありえます。

 会意文字も形声文字も、既存の文字の組み合わせによって構成される文字という点では同じです。複数の文字のいずれからも意義をとって構成される(基本的に音は関係しない)のが会意文字、複数の文字の一方から意義をとって、一方から音をとって構成されるのが形声文字です。したがって、部分の音が全体の音に通じるかどうかという点で見分けるのが一般的な方法ということになります。また、同字の反復と見られる字体を持つ漢字は、会意文字である可能性が高いと判断することもできます(「林」「炎」「北」「森」など)。あるいは、漢字の約9割が形声文字であるといわれていることから、「休」「位」「信」「明」「孫」などの代表的な会意文字を覚えておくこともできるかもしれません。すでに述べたように、会意文字と形声文字の厳密な判断には困難な部分もあるため、試験問題には代表的なものしか現われないでしょう。また、国字(日本で造字された漢字)は主に会意文字ですから、国字と一緒に覚えるのもいいかもしれません。

(5)転注文字(てんちゅうもじ)

 本来の意味が変化したものです。

 「楽」 最初は音楽の曲の意味だった。そこから、曲を聞いていると楽しい、楽(らく)という意味でも使われるようになった。

 「長」 年寄りという意味から、おさめる意味での「長(おさ)」という意味でも使われるようになった。意味の変遷(へんせん)は、長ずる(年をとる)→大きくなる→身のたけが長いとなって最後に「長い」の意味で使われるようになった。

 「悪」 もともと「わるい」の意味だったが、みんな「悪」を「にくむ」という意味で用いられるようになった。現在でも使う「嫌悪(けんお)」「憎悪(ぞうお)」などは「きらう・にくむ」「にくむ・にくむ」と同じ意味で使われる字が重なってできた熟語というわけです。「嫌悪」「憎悪」ともに「悪」は「悪い」という意味ではありません。大学受験の漢文では、「悪む」と書いて「にくむ」と読みます。大学受験では結構常識です。

(6)仮借文字(かしゃもじ)

 漢字の音だけ借りて使うようになった字。同音の漢字を借りて当て字として使う漢字の事を言います。アジアの事を「亜細亜(あじあ)」と言います。明治維新前後、西洋文化が大量に入ってきたときにも多く使われるようになりました。パソコンのワープロで外国名や都市名を変換すれば、カタカナ以外に漢字表記があることに気がついていましたか。ぜひ、やってみて下さい。今でもイギリスを英国、フランスを仏国というのは、こうした漢字の使い方の頭文字を取っていたということだったのです。アメリカは「亜」と表すと亜細亜とかぶったりするので、2文字目の米で表されていますね。

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